税務の話題
「令和5年度 税制改正大綱」が発表されました
昨年12月16日、「令和5年度 税制改正大綱」が発表されました。
毎年の恒例、来年度の税制改正の方針です。今回は、
“「わが国が一層成長できる国になるという希望を取り戻す」ことに向けた税制の羅針盤”
(「第一 令和5年税制改正の基本的考え方等」より)
となることを願いまとめられたものだそうです。
皆さまに近い話題と思われる部分を、大綱の項目名とともにお届けいたします。
地域における活力と安全・安心な暮らしの創造
(1)中小企業税制等
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限:2年延長
所得金額800万円以下の部分は税率が15%とされています(800万円超の部分は23.2%)。
これはあくまで特例=時限措置です。今回の改正により、令和7年3月31日に開始する事業年度まで延長されます。
そのほか、中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制が見直され、対象資産からコインランドリー業の資産等が除かれることになります。
成長と分配の好循環の実現
(1)NISAの抜本的拡充・恒久化
・「つみたて投資枠」「成長投資枠」の創設
・年間投資上限額を拡充。
(資金に余裕があるときにたくさん投資したいニーズへの対応…のようです)
・現行の「一般NISA」「つみたてNISA」は令和5年度末で買付終了。
・年間投資上限額とは別に 一生涯にわたる非課税限度額を設定。
防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
大きく話題になった増税。皆さまも一番関心の高い部分、いろいろとお考えになる話題だと思います。ただ開始時期は「令和6年以降の適切な時期」といわれており、確定されていません。
法人税
新たな付加税として「(法人税額-500万円)×4%~4.5%」
所得税
新たな付加税として「所得税額×1%(復興特別所得税は1%引き下げ)」
たばこ税
3円/1本相当の引き上げ
経済社会の構造変化も踏まえた公平で中立的な税制への見直し
(2)資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築
・相続時精算課税制度の使い勝手向上
・暦年課税における相続前贈与の加算
・贈与税の非課税措置
円滑・適正な納税のための環境整備
(2)電子帳簿等保存制度の見直し
令和6年1月1日以降、「スキャナ保存」「電子取引の電磁的記録」の保存制度が見直されます。
スキャナ保存
・解像度、階調及び大きさの保存要件を廃止。
・入力者等に関する情報の確認要件を廃止。
電子取引
・調査時等にダウンロードできれば検索要件は不要。
(売上高が5,000万円以下 もしくは 紙で出力していること等が必要)
・保存要件に従って保存することができなかったことに相当の理由があると認められれば、紙での保存も可。
当初に比べ、“義務感”は薄くなりました。
現在のやり方を続けることは「楽」かもしれませんが、前向きな“きっかけ”と捉え、〇年先を見据えて業務を見直していきたいところです。
インボイスへの道
第5回 令和5年度税制改正大綱での掲載内容
「円滑・適正な納税のための環境整備」より
適格請求書等保存方式の円滑な実施について
①小規模事業者に係る経過措置
・令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間
・消費税の世界にいなかった事業者が消費税の世界に入った場合(課税事業者になった場合)
・消費税の納税額は[ 売上で預かった消費税 × 20% ]
②少額取引のインボイス不要制度1
・基準期間における課税売上高(2期(年)前の消費税対象の収入)が1億円以下、又は特定期間における課税売上高(1期(年)前の消費税対象の収入)が5,000万円以下である事業者
・令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間の課税仕入れ(支出)
・1万円未満の場合は、帳簿への記載のみで仕入税額控除が可能
⇒ インボイスがなくても払った消費税として認められる
③少額取引のインボイス不要制度2
・売上げに係る対価の返還等(値引・返品・割戻)が1万円未満の場合は、インボイス不要。
⇒ 振込手数料が控除される場合は「インボイスは無くてOK」
④登録制度の見直し
・課税期間の初日から登録を受けようとする場合は、その課税期間の初日から起算して15日前の日までに登録申請書を提出。
⇒ もともとは1ヶ月までに提出でした。(やや短縮…「柔軟な対応」だそうです)
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