税務の話題
「令和5年度 税制改正大綱」が発表されました ②
昨年12月16日に発表された「令和5年度 税制改正大綱」。
2023年1月号でも一部をご案内いたしましたが、ページの関係で記載しきれなかった「資産税」の分野 ― 相続と贈与に関する部分を改めて取り上げます。
令和5年度税制改正の概要「経済社会の構造変化も踏まえた公平で中立的な税制への見直し」の「(2)資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築」を参考に引用しています。
【1】相続時精算課税制度の見直し
①年110万円を控除できることになります
令和6年1月1日以後贈与により取得する財産について適用されます。
●暦年課税の基礎控除110万円とは別。
●相続時精算課税を選択している贈与者からの贈与額から年110万円を控除できる。
(相続時精算課税を選択している贈与者が複数いる場合は贈与額で按分)
②相続税の課税価格に加算する財産は、この110万円を控除した後の価額。
③受け取った一定の土地・建物が、相続税の申告期限までに災害によって被害を受けた場合、課税価格に算入する価額は、被害を受けた部分に相当する額を控除した残額。
【2】生前贈与加算の見直し(暦年課税の場合)
①(最終的に)相続前7年間の贈与が、相続税の課税価格に加算されることになります。
「令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用」となるため令和6年1月1日から3年経過後の令和9年1月1日以後に開始する相続から適用され、今回の改正により加算期間は順次延長されることになります。
② この期間に贈与により取得した財産は「100万円」を控除した残額を相続税の課税価格に加算する。
(1年あたり100万円の控除ではない)
現行の贈与制度内容が不安な方は、こちらから!
贈与税は、財産を受け取る人(受贈者)に課される税ですが、制度は2パターンあり、財産を渡す人(贈与者)ごとに選択することになっています。
①暦年課税
(その年に受け取った贈与額全額-基礎控除 110万円)× 贈与税率
⇒ 贈与を受ける人(財産を受け取る人)1人あたり基礎控除が年110万円あるイメージ。
⇒ 贈与税を納めることで、基本的にはその年に完結。
(注)贈与者の相続開始時、生前贈与加算の検討が必要な場合があります。
②相続時精算課税
「Aさんから受け取る財産にはこの制度を使う!」と申告することで、その後、そのAさんから受け取る2,500万円までの財産について贈与税は計算しなくて良い。
⇒ 贈与をする人(財産を渡す人)ごとに上限2,500万円の控除があるイメージ。
⇒ こちらを使うと決めたら、そのAさんからの贈与については①暦年課税に戻せない。
⇒ Aさんの相続発生時、贈与を受けた額を全て相続財産に含めて相続税を計算する必要がある。
インボイスへの道
制度は今秋から開始!社内体制も考えましょう!
「面倒な制度…どうしたら良いのか…」と溜め息をついていても、状況は変わりません。
改めて消費税の計算方法を確認し、社内の経理体制も検討していきましょう。
【Q1】2期(年)前の売上はいくらでしたか?
1,000万円以下
YES:
消費税の世界に入らないことも認められています。
ただし、令和5年10月1日以降、取引先との付き合いが変わる可能性があります。
このまま消費税の世界に入らなくても事業に影響が無いか、本気で考えましょう。
NO:
消費税の世界に入ります。⇒【Q2】へ
【Q2】登録番号は申請しましたか? 登録番号を把握していますか?
「取引先から登録番号の提出を求められている」というお話しを聞くようになりました。
自社の番号をきちんと確認しておきましょう。(“ T ”からはじまる13桁です)
【Q3】課税方法はどちらですか?
原則課税:
預かった消費税と支払った消費税の差額を計算して納める方法。
発行する請求書(領収書)も受け取る請求書(領収書)もインボイスが必須!
⇒【Q4】へ
簡易課税:
預かった消費税額から納める税額を計算する方法。受け取る請求書(領収書)はインボイスでなくても消費税計算に影響はありません。
【Q4】インボイスの受取・保管体制はできていますか?
クレジットカードで決済した場合もインボイス(店舗発行の領収書)が必要です。
「1万円未満はインボイスが無くても良くなったよね!?」(2023年1月号)が認められるのは「2期(年)前の売上が1億円以下等の場合」です。(令和11年9月30日までの時限措置)
1億円を超えている事業者の方は認められていませんので、今すぐ社内にご周知ください!
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