この時期、お住まいの市町村から通知(納付書)が送られてきたり、お勤め先から通知書を渡されたり…と住民税を目にする頃かと思います。しかし、「給与から勝手に引かれている」とか「納付書が送られてくるから何となく納めている」という方が多いのではないでしょうか。
今回は、毎年のことながら、“何となく”になりがちな住民税のお話しをしていきたいと思います。
ちなみに住民税とは、一般的に“都道府県民税”と“区市町村民税”をあわせたものです。住民に対する行政サービスの経費であり地域社会作りのための税金、といわれています。
1・住民税は何をもとに計算されているか
個人事業主の方など普通徴収の方であれば、6月・8月・10月・1月に年4回納付し、会社員の方など特別徴収(勤務先が徴収し納付)の方であれば6月~翌年5月まで毎月お給与から天引きされる住民税。何をもとに計算されているか、ご存知でしょうか。答えは、「前年1月~12月の所得」です。
つまり、所得税は、1月~12月の所得をもとに計算した税額を翌年3月15日までに納税しますが(給与所得のみの方は、基本的に毎月のお給与から概算税額が徴収され、年末調整で精算されます。)、住民税は、1月~12月の所得をもとに計算した税額を翌年6月以降、約1年にわたって納めることになるのです。
2・住民税はどこに納めるか
「当然、住んでいるところでしょ!」……という声が聞こえそうですが、“いつ”住んでいるところでしょうか。答えは、「納める年の1月1日現在 住んでいるところ」です。つまり、平成29年6月以降納める住民税は、平成29年1月1日に住んでいた都道府県と市町村に納めているのです。
そして、実はそのために、確定申告書には「1月1日の住所」記載欄があり、この申告をもとに市町村が税額を計算していることになります。
会社員の方など、扶養控除申告書等(異動)申告書を勤務先に提出される方も、原則として記載する住所は「その年の1月1日現在 住んでいるところ」です。この住所の市町村へ、勤務先から皆さまの所得が報告され、それをもとに市町村が税額を計算しています。(住民票が現住所と違う市町村にある場合は、勤務先のご担当者様へご相談ください。)
3・「普通徴収」と「特別徴収」
市町村から直接納付書が送られてくる個人事業主の方などは、「普通徴収」です。わざわざ納付書を持って、毎回金融機関で手続きするのは大変!という方は、一度手続きをすると振替納税が利用できます。
一方、給与を支払う企業や事業主の方には、従業員の住民税を徴収し、納付する「特別徴収」が原則として義務付けられています(ただし、一定の要件に該当する場合はあてはまりません。)。「“特別”徴収」という名称ですが、会社員の方などは、こちらが“普通”なイメージでしょうか。
最後に
所得税と住民税では、所得控除に違いがあります(例えば、誰でも控除が受けられる「基礎控除」。所得税は38万円ですが、住民税は33万円です。)。そのため、課税標準(税率を乗じる金額)は所得税と異なります。
また、税率等は都道府県や市町村によって、多少の違いがあることもあります。 ご興味をもっていただけましたら、ぜひ一度、ご自身の「通知書」をご確認ください!