税務の話題
2019年も、あと1ヶ月!
個人所得税の所得控除“駆け込み”策をご紹介いたします。
2019年の個人所得税の節税を考えたい!
個人所得税の計算期間は、1月~12月……つまり、計算に使用する(できる)収入と支出は、今月で一区切りです。
今月は、これから間に合う“4つの策”のご紹介です。
[策その1] 最も簡単!? ふるさと納税
さまざまな議論もあるなかでの制度ですが、今年も、気になる市町村への「寄附」額(寄附額-2,000円)が 所得税と住民税の計算上、控除されます。
「自己負担 2,000円でお礼の品を受け取ることができる」と話題ですが、控除額には上限があります。(詳細は2018年10月号で!) ふるさと納税関係の民間サイトでは、ご自身の年収等から上限額の試算をすることもできます。毎年、気づいたらやっていなかった方も、これを見ていただいた今、試算してみてはいかがですか?
[策その2] 小規模企業共済
既にご加入されている方も多いと思います。
ただ、こちらに加入できるのは、個人事業主、法人の代表者や役員の方等に限られます。
掛金は月1,000円~70,000円まで500円単位で設定可能。「月払」もできますが、今月「年払」を選択・払い込みをすることで、最高84万円(70,000円×12ヶ月)の所得控除を受けることができます。
こちらは、事務所通信2018年9月号にて、ご案内をいたしました。未加入の方は、来年でもぜひご検討いただきたい制度です。
▼中小機構 小規模企業共済
https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/index.html
[策その3] 個人年金保険
毎年、年末調整業務をしていると、「生命保険」や「医療保険」に加入している方は多い印象ですが、この個人年金保険は未加入の方が多いと思います。
国民年金は公的年金、こちらは民間の生命保険会社を利用した私的年金です。毎月一定額の積立等を計画的にされている方などは、こういった保険を使うことで、補償+所得控除を受けることができます。
個人年金保険は、「生命保険料控除」に該当いたしますが、「一般生命保険料」や「医療保険料」とは別枠で計算します。
ご興味のある方は、ご案内をいたします。ぜひご連絡ください!
[策その4] iDeco(個人型確定拠出年金)
この数年、本当によく聞くようになったと思います。こちらも私的年金のひとつですね。
拠出額は月 5,000円~、税制メリットは
① 拠出額が全額所得控除
② 運用益が非課税
③<受取時>公的年金等控除、もしくは退職所得控除の対象
といった面があります。(事務所通信 2018年12月号でご紹介!)
「資産形成」の考え方は様々ですが、ひとつの手段として、ご検討はいかがでしょうか。
▼iDeco公式サイト
https://www.ideco-koushiki.jp/
“ちょっとギモン…”にお答えします!
よくあるギモン その3
「経理書類っていつまで保管しないといけないの?」
このご質問を、本当によくお受けします。
確かに、毎月の請求書や領収書をはじめ、繰り越した預金通帳……膨大ですよね。
今回は、拡大ver.でお届けいたします。
Answer…
会社法では10年、税法上は税目等により異なります!
「え!?10年……!?!?」と驚かれた方も多いと思いますが、会社法(注)では帳簿及び重要書類の保存期間は、10年と定められています。“会社法”ですから、全ての法人に適用されます。つまり、規模にかかわらず、全ての法人が10年間は帳簿書類等を保存しておく必要があります。
(注)会社の設立、組織、運営及び管理について定めた法律
一方、税法上は税目ごとに、以下のとおり規定されています。
法人税法 | 7年間(法人税法施行規則 第59条) ただし、欠損金の繰越控除を適用する場合、その欠損金の生じた事業年度の帳簿書類を保存している必要があります。(欠損金を繰り越せるのは9年間(平成30年4月1日以後開始事業年度に生じた欠損金は10年間)です) |
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所得税法 | 7年間(所得税法施行規則 第102条) |
消費税法 | 7年間(消費税法施行令 第50条)※課税事業者が仕入税額控除を受ける場合 経費等で支払った消費税を「支払った消費税として経理する」ためには、記載要件を満たした帳簿及び請求書等の保存が必要です。 |
なお、「電子帳簿保存法」に基づく電子データによる保存制度も、徐々に要件が緩和されてきているようですが制約も多いため、導入にあたっては、社内体制を含め、ご検討をお願いいたします。
今月の注目 新聞などから気になる記事をご紹介いたします
事業継承 個人保証を免除
中小 健全財務が条件
読売新聞 11月9日(土)朝刊 1面です。
2020年度より、中小企業を引き継いだ新経営者が従前の債務について、個人保証を求められない制度が導入されるとのこと。もちろん「債務超過でない」など4条件が想定されるそうですが、国も事業承継が進んでいない実態を重くみているようです。
この制度にかかわらず、様々なところで影響するのが【健全財務】ではないかと思います。
結局のところ……何事も、「健全」が「信用」に繋がるということなのでしょうか。
編集後記
少し遡りますが、10月には関東地方にも、超大型台風が直撃しました。皆さまのお住まいの地域やお仕事場など、被害などはなかったですか。
この台風で、ひとつ話題となったのは、「保険」ではないかと思います。ご自宅などでは、火災保険や地震保険のご契約をしていらっしゃると思いますが、「火災保険では“水災”が補償されない」といったお話しが多くありました。
家を建てた時などに、とりあえず入った(?)火災保険…補償内容はご存じですか!?
天災は、年々威力を増しているようです。この機会に、保険証券を見直し、現状に合った保険内容のご検討をされてはいかがでしょうか。
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