経営を考えよう
「経営者保証ガイドライン」をご存じですか
"インボイス”や“電子帳簿保存法”、今年は大きく制度が動いた年でしたが、皆さま、ご対応状況はいかがでしょうか。引き続き、“業務効率化”も見据えながら、ご一緒に検討していきたいと思います。
2023年最終号は「経営」に関するテーマにいたしました。新しい年に向けて、ぜひ意識していただきたい視点です。
「経営者保証」とは…
中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者が会社の連帯保証人になること。
融資ご契約の際、「連帯保証人」欄にご自身のお名前をご記入されている方が多いと思います。それが、「経営者保証」です。
会社の返済が滞った場合には、経営者が自身の財産を処分するなどして返済しなければならないのです(亡くなった場合は、ご家族に返済義務があります。)
融資を受けやすくなるメリットはありますが、経営者にとってはリスクも大きいです。
「経営者保証」は必須?
いえ、“必須”ではありません!
日頃お話しをしていると「当然必要なこと」と思われている方が多いようです。
ですが、状況によっては経営者保証無しで融資を受けることもできます。
その要件などが明記されたものが「経営者保証ガイドライン」です。
ただし、この「経営者保証ガイドライン」は「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」といわれ、法的な拘束力はありません。経営者保証を解除するかどうかの最終的な判断は、金融機関にゆだねられています。
それでも、この制度を認識できているかどうかで、日々の経営意識も変わるのではないでしょうか。
「3要件」を満たすために!
3要件を満たすための施策を、「中小企業庁『事例でみる経営者保証の解除~課題解決のポイントとその効果』(2022年9月20日)」を参考にまとめました!
①法人個人の分離
法人の経理と経営者の家計が分離されていることは、とても重要。
経営者への多額の貸付金は、特に注目されるポイントです。既に「貸付金」が出てしまっている方は、計画的な返済を検討しましょう。
また、法人のお金を明確にするために
●法人の経費は精算方式にする
●法人の経費は法人名義のクレジットカードで支払う
●法人のお財布を管理する(現金出納帳など)
といった方法をご案内しています。
②財務基盤の強化
この観点は、「日々の積み重ね」といった部分が大きいと思われます。
利益が出なければ、会社の土台は強くならない仕組みになっています。
(1)売上げを上げる (2)原価を抑える (3)固定費を抑える
この3点を見直して利益を出す → 納税 することで、自己資本比率が高まります。
「会社の土台」の指標が自己資本比率です。この視点で、経営課題を洗い出してみましょう。
③経営の透明性確保
私たちは、皆さまから資料をご提示いただかなければ、会計処理を進めることができません。
裏を返せば、適時に資料のご提示をいただければ、金融機関から求められた際にも直近の試算表を提供することができます。
皆さまにとってメイン業務でない経理面は、優先順位が下がってしまうかもしれません。
ただ、“経理”は“経営管理”ともいわれます。一度流れを作れば、きっと回っていきます。
この機会に流れを作っていきましょう!
税務の話題
2024年1月より義務化! 電子帳簿保存法「電子取引関係」
今月で宥恕期間が終わり、来月から義務化となります。
簡単にいえば「電子のものは電子のまま保存」です。
とはいえ、「今から要件を満たしたシステムや業務フローの準備なんてムリ!」な方は、ひとまず「電子データを保存しておくこと」だけでも、ご対応ください。アマゾンや楽天市場など、ネットショップで購入した場合は、特に注意です!
これはインボイス制度にも関係があり、見て見ぬフリをしているとご自身に跳ね返ってくる可能性大…と思われます。
「じゃぁ、来月から…」―― いえ、今日から取り組みましょう!
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