税務の話題
税務調査の一般的なチェックポイント
9月下旬、新聞等で「コロナウイルス感染症拡大の影響で中止されていた税務調査が再開される」という記事がありました。もちろん、納税者の方の意向や都合を汲みつつ、日程調整等が行われますが、法人・個人問わず、いつでも管轄の税務署から連絡が入る可能性があります。
今月は、改めて意識をしておきたい税務処理のポイントをご案内いたします。
税務調査に際しては、皆さまの事業の形態や状況に応じて、チェックポイントは変わります。意識していないことが、実は“税務”のルールに則っていなかったこともあるかもしれません。
少しでも気になった点は、ぜひご相談ください!
〔売上〕と〔仕入(原価)〕は結びついていますか
商品Aの売上があれば、商品Aにかかった仕入がありますよね。それがどちらも同じ期に計上されていることを確認します。
- 売上だけ入っている = 意図的に売上げを増やしている!?
- 仕入だけ入っている = 利益圧縮…租税回避!? と考えられます
決算月に仕入れたけれど、売れずに残っている商品(材料)は「在庫」扱いです(費用にはなりません)。
期首〔○月1日〕から期末〔○月末日〕までの売上と仕入は、全て計上されていますか。
申告書の期間は、売上や仕入の締め日と一致するとは限りません。
毎月20日締のご請求の場合、申告書を作成する際には、21日~末日までの売上や仕入も計上する必要があるのです。
末日時点で棚卸はできていますか
決算期末日に手元にある在庫(商品、材料、製作途中の製品、完工していない現場など)をきちんと確認し、計上していますか。外部に預けている在庫も含みます。
なお、計上する際の金額は、原則としてその期の最後に仕入れた際の金額です。
固定資産の状況は確認できていますか
過去に購入し、資産に計上した車両や工具や備品…今もありますか。
また、決算期末近くに購入した備品、今期中に使い始めていましたか。
今期購入した資産は、全て計上をしていますか。
役員と会社の取引は適正ですか
中小企業では、社長(役員)の言動は「鶴の一声」よりも威力があるはずです。
そういった観点からも、役員報酬の変動などについては規制がありますし、その他の取引(金銭授受)も注意が必要です。
個人事業主の方も例外ではなく、「一般的に個人の生活に必要なもの」は、当然、必要経費にはなりません。
証憑は揃っていますか
何だかんだ言っても、“証憑書類が全て”の世界です。法律上、消費税を支払った消費税として認められるのは、証憑がある場合だけ。
私たちがしつこくお願いするのも、実はきちんと理由があります!証憑は、皆さまを守る“紙”になるのです。
書類整理でお悩みの方は、ご相談ください。
今月の注目!
新聞などから気になる記事をご紹介いたします
企業の「脱ハンコ」加速
業務効率化・経費削減
民間企業で、契約書などに必要な押印を廃止し、電子契約に切り替える動きが広がっている。「脱ハンコ」により、業務効率化や費用削減が見込めることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大で普及したテレワークを進めやすくする狙いがある。社会のデジタル化に熱心な菅政権も法改正などで後押しする考えだ。
~読売新聞 10月22日(木)朝刊9面の記事より~
中小企業や個人事業主間では、大企業に比べるとこれまでも「絶対」ということが少なかったと思いますが、“捺印”については、これから社会が大きく変わっていくと思われます。
ただ、一定のルールなどの制約が多くなる部分もあると考えられます。皆が一定のルールの中で動くことが、「公平性」を保つことにも繋がるのだと思います。 ハンコが無くてもビジネスの「契約」は「契約」、記録は確実に残し、社会の動きに合わせて、情報を的確に得て、業務効率化を考えていきたいものです。
編集後記
コロナウイルス感染症拡大のなかで、事業継続のため、新しい展開をお考えの方、動かれている方も多いと思います。
“怪我の功名”となり、近い将来、笑い話になることを心から願っています。
今、お考え中の方は、ぜひ、先月ご案内いたしました「早期改善経営計画」策定の取組などもご検討いただければ幸いです。
私たちの業界は、現状の景気低迷は無縁…「影響が無い」と思われがちですが、必ずしも、そうではありません。そして、皆さまの事業が思うように進まないこと、悩まれていることも、劇的な解決方法を持たない私たちは同じように、辛い思いを感じています。
そして私たちも、これからのウィズコロナ・アフターコロナ社会に向けて、新サービスを検討中です。
近く、この事務所通信でもご紹介いたします。
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