突然ですが、貴社(貴方)には「知的資産」がありますか?
「特許を取っているわけでもないし…」と思われたでしょうか。
もちろん、“特許”等の「知的財産権」も「知的資産」の一部と考えられますが、経済産業省では、「知的資産」を次のように定義しています。
「知的資産」の定義とは?
従来のバランスシート上に記載されている資産以外の無形の資産であり、企業における競争力の源泉である、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランド等)、組織力、経営理念、顧客とのネットワーク等、財務諸表には表われてこない目に見えにくい経営資源の総称。
要は「(企業の)競争力の源泉」となるもの、もっと簡単に言えば「貴社(貴方)の強み」と言えるかもしれません。そして、この「知的資産」をしっかり把握・活用し、収益に結びつける経営を「知的資産経営」と呼んでいます。
少子高齢化をはじめとして、社会・経済情勢が目まぐるしく変化していく中、自社の「強み」を活かして差別化を図っていくことが、より一層、中小企業には求められていくと思われます。
「知的資産経営」のステップ
「知的資産経営」のステップは、
① 自社の強みを認識する(知的資産の棚卸)
② 自社の強みがどのように収益に繋がるのかをまとめる(ストーリー化)
③ 経営の方針を明確にし、管理指標を特定する(見える化の技術)
と標準的な流れが公表されていますが、第一段階めの「強みの認識」では、「SWOT分析が有効」であると書かれています。今、私たちもお客さまにお薦めしている「SWOT分析」――目に見えない資産であるからこそ、業務に追われる日々の中で、意識して、ちょっと立ち止まって考える(棚卸する)、文字にすることが大切だということではないでしょうか。
もちろん、これらは「一度考えたら、それで終わり(決定)!」というわけではありません。社会が変化し、経営戦略を変えていくなかで、「知的資産(強み)」も変化すると思いますので、継続的に見直すことを考える必要がありますね。
「知的資産経営」と同じく大切なこと
ただ、この「知的資産経営」を考える際にも重要なことですが、事業を行っていくうえで一番大切なこと――それは、「経営理念」だと思います。経営理念=目指すところ=自分が舵を取る船の向かうところ、です。
中小企業(小さい組織)では、経営方針は経営者の頭の中だけに留まっている傾向があるようです。ぜひ「文字」にしてください。それが、外部とのコミュニケーションとなり、アピールになるはずです。(ちなみに、この“外部”には従業員も入っています。従業員の方も、どこに向かっているか分からない船に乗っているのは不安なものです。)
財務諸表の目に見える数字は結果であり、その分析も経営上非常に重要だと考えています。ですが実際は、事業に関係する人々の、目に見えない同じものを見ている感覚が、事業を強くする源泉なのかもしれません。
貴社(貴方)の「経営理念」は何ですか?
貴社(貴方)の「知的資産」は何ですか?
(参考資料:中小企業基盤整備機構「中小企業のための知的資産経営マニュアル」)